
鐔 銘 山城国伏見住金家 竹生島図
価格 : お問い合わせ下さい。
商品説明
波に兎の図のことを古来「竹生島」と呼び習わしています。これは醍醐天皇の時代の逸話をもとにした謡曲「竹生島」の一節の『緑樹影沈んで 魚木に登る気色あり 月海上に浮かんでは 兎も波を奔るか 面白の浦の景色や』という歌に由来しています。月が湖面に映り、月に住む兎が波間を走るようだ、と歌われていることから、波に兎といえば竹生島のことを指すようになりました。
醍醐天皇の臣下が琵琶湖に浮かぶ竹生島の弁財天に詣でようとして、琵琶湖の湖畔で知り合った老いた漁師と若い女性の乗る舟に便乗させてもらいます。臣下が漁師に竹生島は女人禁制ではないのですかと問いかけたところ、「竹生島は弁才天を祀っており、女性をお隔てにならない」と返すと、女性は天女となり、漁師は龍神となって湖の上に出現したというお話です。
金家は、信家、埋忠明寿とともに桃山時代の三名工といわれております。しかしながら研究過程のことが多く、数も少ないため神秘に富んだ鐔工といえると思います。
この鐔はいわゆる名人初代と呼ばれる金家のものです。
表には龍神の化身である網を担いだ漁師と、竹生島から望む伊吹山でしょうか、遠景の山が描いてあります。
裏には金家鐔にしばしば用いられる利鎌のような三日月と、波間を跳ねる兎が描かれています。
非常に薄いよく鍛えた地鉄に槌目を施し、モチーフを共鉄象嵌として大きく空間をとり、銀の象嵌を最小限に抑えるなど、掟通りの作風となっています。
この鐔を掌に載せると、手にしっとりと馴染み、どこか柔らかな印象を受けますが、じっと見入っておりますとその存在感に圧倒されてしまいます。
見るほどに、触れるほどに魅力溢れる一枚です。
詳細データ
- 時代
- 桃山時代
- 製作国
- 山城 国
- 製作手法
- 鉄槌目地鋤出高彫銀象嵌打返耳
- 鑑定書種別
- 特別保存刀装具(日本美術刀剣保存協会)
- 縦
- 82.4 ミリ
- 横
- 77.0 ミリ
- 切羽台厚さ
- 2.0 ミリ
- 耳際厚さ
- 3.3 ミリ