
鐔 応仁 襷透紋散
260,000円(税込)
商品説明
応仁鐔は、室町時代の応仁年間(1467~1469)に初めて製作された、薄い鉄地の板鐔に、点や線、もしくは定紋や単純な文様を真鍮象嵌し、小透を加えたもの、と定義されています。
本品は、日刀保の鑑定書で「襷(たすき)透」と名付けられています。襷とは、三省堂大辞林によると「ひもや線、または細長いものを斜めに打ち違えること。また、その模様。」とされていますので、意匠からの命名と思われます。
この鐔には、「丸に三引両紋」「馬櫛紋」「桜紋」「菊紋」といった家紋が散らされていることから、この透かしも「二本直違紋」を意匠したものではないかと考えられます。
「直違紋」は丹羽氏の家紋で、戦場で血のついた刀を拭った際、二線交差のような跡がついたことに由来する、という説がある紋です。
引両は本来「引き竜(ひきりょう)」で、竜の姿に擬したものといわれています。古代中国の占い書「周易」に、「≡という形は『乾(けん)』と呼び、天や王、そして竜を意味する」、との記述があります。古来、竜は神秘的な神獣で超自然的な力を持つと解され、これらの信仰から戦国武将はしばしば引両紋を用いました。
「馬櫛」は文字通り馬の毛をすく櫛に由来し、武家には欠かせない道具を表しています。
この鐔はまことに古雅な槌目仕立ての鉄地に、現代人の理解を超越した意匠の四つの小透を加え、武士と繋がり深い直違・三引両・馬櫛の紋に、風雅な桜と菊の紋を味のある真鍮象嵌で据えた、上世の薫り漂う一枚です。
詳細データ
- 時代
- 室町時代
- 製作手法
- 鉄地透彫真鍮象嵌
- 鑑定書種別
- 特別保存刀装具(日本美術刀剣保存協会)
- 縦
- 80 ミリ
- 横
- 80 ミリ
- 切羽台厚さ
- 3 ミリ
- 耳際厚さ
- 4 ミリ