
鐔 古金工 流水貝尽図
160,000円(税込)
商品説明
貝と一口に申しましても、私達の日常の食生活に関わりが深いものだけでも実に多くの種類のものがあります。鮑のように片側一枚のもの、蛤のように二枚合わせのもの、バイガイのように丸く渦巻いたもの、栄螺のように全体が角の形をしたもの、その他おもだったものだけでも百近い種類のものが存在するようです。
鮑は万葉集に歌われるなどし、古来片思いの代名詞として使われ、また熨斗に使われますよう祝い事にも用いられます。蛤は「蛤女房」のような昔話や、蜃気楼の元であるという伝説があり、栄螺はその見た目と、蓋を閉じるとどうにも開かないことから、頑固者に擬されます。
これらのように生活に密接して親しまれてきたことに加え、値打ちや効果を意味する「甲斐」や、「改」「戒」などに音が通じることから、貝は武士に古くから画題として好まれました。
この鐔は、当時貴重であった赤銅地を表裏面の薄い部分のみに使い、素銅を挟んで「三枚仕立て」という手法にて製作されたものです。
凹凸をつけ波打たせた赤銅地に魚子を蒔き、絶妙な位置取りで五種の貝を配し、波とともに鋤下高彫としています。それぞれに金と銀の象嵌を加えていますが、磨れた魚子とともに手擦れの金銀色絵も景色となり、五百年近い星霜を経たこの鐔の歴史を物語っています。
見入るほどに無限の広がりを思わせる、武士の美意識が凝縮した一枚です。
詳細データ
- 時代
- 室町時代
- 製作手法
- 赤銅魚子地三枚仕立高彫色絵
- 鑑定書種別
- 特別保存刀装具(日本美術刀剣保存協会)
- 縦
- 70 ミリ
- 横
- 62 ミリ
- 切羽台厚さ
- 4.8 ミリ
- 耳際厚さ
- 5 ミリ