
脇差 銘 兼定
附 黒蝋色塗鞘剣片喰紋金具小さ刀拵
600,000円(税込)
商品説明
孫六兼元とならび末関鍛冶を代表する兼定は、志津一派の流れをくみ、同銘数代を数え、定の字によって之定(のさだ)、疋定(ひきさだ)と区別して呼称されています。
この脇差は、身幅を狭め鎧の隙間を突き易くし、また一方で寸法を長く仕立てわずかに先反りを付け、截断にも適うよう戦闘第一の鋭利さを備えた、戦国時代の実戦的な武具です。
詰んだ小板目に小杢目、流れごころの肌を交えた地鉄は、地沸が厚く付き関映り立ち、鑑賞していますと時の経つのを忘れるくらいに見入ってしまうほどの複雑な様相を呈しています。
匂口締りごころの、尖り刃交え高低変化する互の目の刃文は、焼きの谷間から刃先に向かって沸筋がかった足が伸び、刃中に微細な沸が充満し明るく冴え、いかにも物切れしそうな雰囲気を漂わせています。
乱れ込んだ帽子は地蔵になり、深く返り、鑢は桧垣にかけられ、疋定に切られた銘振りや作風から、天文頃の三代兼定の作と思われます。
附帯しておりますのは、剣片喰紋を蒔絵にて散らした鞘、鐔・縁頭・栗形・裏瓦・口金・鐺を赤銅石目地に剣片喰紋を高彫据紋とした一作金具で装われた格調高い小さ刀拵です。
片喰紋は、清和源氏の名門である新田氏、戦国時代には長曾我部氏、宇喜多氏、酒井氏、幕政時代には松平氏、森川氏など、特に旗本では百六十を超える家に用いられたと言われており、武家にとって非常に馴染み深い家紋です。
着実に繁殖していく根強さを意味する片喰に、尚武の象徴である剣を加えたこの家紋は、武士の気風にまことに相応しいものとして多く用いられました。
※刀身裏面中央部に5ミリほどの鍛え割れが認められますが、鑑賞の妨げにはなりません。
詳細データ
- 製作国
- 美濃 国
- 製作年
- 室町後期天文頃
- 登録年 / 県
- 昭和43年栃木県
- 鑑定書種別
- 保存刀剣(日本美術刀剣保存協会)
- 刃長
- 31.0 センチ (一尺二分三厘)
- 反り
- 0.3 センチ (一分弱)
- 元幅
- 2.8 センチ
- 棟重ね
- 0.5 センチ
- 鎺
- 金色絵剣片喰紋一重鎺
- 鞘
- 白鞘入・拵付